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学校のこと、友達のこと、中学の時のこと、長田くんといろいろ話しながらうちまで帰った。
私、男子とこんなに話したの初めてかもしれない。
そうして30分以上かかって、ようやく家の前まで着いた。
けれど……
「あの、長田くん?」
長田くんは、繋いだ手を離そうとしない。
無理に振り解くことも出来なくて、私は困った。
「あのさ、円ちゃん」
長田くんが手を繋いだまま口を開いた。
「来週、流星群が来るらしいんだけど、一緒に見に行かないか?」
「え?」
流星群って……
「夜?」
私は当たり前のことを尋ねる。
昼に流星群が見られるわけがない。
でも、夜、男の子と出かけるなんて、したことない。
「そんなに遅い時間じゃなくても、少しは見られるらしいんだ。中学の辺りは街灯も少なくて星空を観察しやすいって、三池先生が言ってたから」
三池先生は、中学3年生の時の理科の先生。
確か、専門は天文学だって言ってた。
「あの、夜、出かけるなら、両親に聞いてみないと」
そんな毎週、夜出かけるなんて、いいって言うかどうか。
「そう……だよな。そうだ! じゃあ、とりあえず、明日、水族館に行こう! で、流星群はその後で考えればいいよ」
水族館!
それなら、流星群よりは気楽に行けそう。
「うん、水族館なら」
私がそう答えると、
「やった! よし、決まり。後でLINEする」
長田くんは、嬉しそうに笑うと、私の手を離した。
「じゃあ、帰ったら、LINEするから、待ってて。じゃあ、また明日な」
長田くんは、元気よく手を振ると、こちらを何度も振り返りながら、帰って行った。
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