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◇ ◇ ◇
私は、紺色の浴衣姿で、赤い金魚柄の浴衣を着た子供と手を繋いで歩きながら、懐かしくあの日の出来事を思い出す。
「円、どうした?」
どうやら、自然と笑みがこぼれていたらしい。
不思議そうに夫に尋ねられて、気がついた。
「私たち、あの日の花火大会から始まったんだったなぁって思い出してね」
私がそう言うと、夫はフッと笑みを浮かべた。
「花、おいで」
夫は、2人の間にいた娘をひょいっと右手で抱き上げる。
花は、喜んで夫の首に抱きつく。
そして、夫はスッと左手を差し出した。
「はぐれないように」
ふふふっ。
私は、笑みをこぼし、夫の手を取った。
私たちは、仲良く手を繋いでのんびりと家路に就く。
あの日、私がいないことに真っ先に気づいたあなたが、驚くほど取り乱してたって、未来が教えてくれたよ。
ずーっと、私を想ってくれて、ずーっと、私と一緒にいてくれて、ありがとう。
ともくん、大好きだよ。
あいしてる。
─── Fin. ───
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