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エピローグ
カフェ「SELA」は、大宮駅から徒歩10分と、近いのだが、どうも目立たない。
相変わらず、客は自分一人だった。
「いらっしゃいませ」
結が、笑顔で出むかえると、テーブル席に促した。
「白いカレーはいかがですか」
「そうだね。
白いカレーと、激甘のケーキセットをたのむよ」
ニヤリと笑ってみせた。
また、結が隣の席について、こちらをうかがっている。
「カレーも、仕事も、色次第だね。
おかげ様で、いくつか契約を取りつけたよ。
ありがとう」
少し口元を緩めた結が、外を眺めた。
「私は、何も。
また来てくださいね」
それからというもの、外回りの合間に、白いカレーを食べるのが習慣になった。
同僚にも、
「おい。
ゲン担ぎに、いいカレーがあるんだよ」
グリフィス生命の社員の間に、うわさが流れた。
「カフェ『SELA』で、白いカレーを食べろ。
そこの、美人店員に話しかけられた奴は、成功する」
了
この物語はフィクションです
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