1人が本棚に入れています
本棚に追加
第二話
お疲れさんと共にみんなが車に乗る。
臨時のバス、車で、細い道はあちこちで渋滞しているようだ。
確かここから歩いていけるよな?
「ジロちゃん、俺歩いて帰ってもいい?」
あー、俺も。
俺もそのほうが近い。
「わかったよ、まっすぐ帰れよ、飯用意してくれてるんだからよ」
ハーイと俺たちは、車の中に、楽器を投げ入れると、そこから民宿に向かって歩き出した。
「なんだろう?」
なに?
「あ、ほら消防車」と指さした。
「火事?」
「まさか、サイレンならしてないぞ?」
「夏休みだから火の用心なんじゃないの?」
そうかなと言いながら、俺達は古い家、狭い道路を懐かしみながら歩いて戻ったんだ。
民宿に戻ると、なんだか落ち着かない叔母ちゃん一人。
どうかしたのと聞いたら、人がいなくなって探しにみんな出たというのだ。
それで、消防車が出ていたのかな?
そうだという。
誰がいなくなったの?
外人の女の子だそうだ。
「でた!」
いや、いや、わからないだろうが?
俺達みたいなお客さんかと聞いたら地元の人らしい。
らしいとは?
奥さんがここの人で、旦那さんたちはフランス人だというのだ。
へー?
マジか?
夜の海、さらわれたりしていなければいいけどというのだ。
俺達は食事をしながら、なんでそんな人がいるのか聞いたら、お盆で帰ってきたのだという。
ああそうか?
コンサート会場で見たのは旦那さんだったんだななんて話していたら、おばちゃんはこんな話をしてくれた。
お盆には村の人、特に亡くなった家庭がお金を出して花火をあげる習慣があったそうなのだが、人が減り、数年前から無くなったそうだ。
ただ明日、コンサートの最後に花火が上がるから、楽しみにしているのもいるという。
「コンサート会場じゃないと見えないらしいけどね」
と叔母さんは少し寂しそうだ。でも息子さんたちは行くよと言っていた。
ありがたいね。
一時間後、ジロちゃんがやっと戻ってきた。
大変だったね?
いらっちのジロちゃんが、まあなと言っているのに俺たちは何かあったんじゃないかと思ってしまった。
「せいちゃん起きてる?」
ヒーは、気になるから、見に行きたいと言い出した。
時間は十二時、まだ誰も帰って来ていないというのだ。
ステージの所まで言ったら買えるからというのだが。
「俺も行くわ」
「えいちゃんも行くって」
「待て、待て、俺も行く」
ロクちゃんまで、マネに声をかけてくると、出ていったヒー。もう。みんながゴソゴソ起きだした。
は?
暇だしー。
散歩だよ、散歩。
叔母さんにも声をかけ外に出た。
後ろから、たばこ買ってきますの声、結局みんなで外に出た。
「静かだね?」
「みんな海の方を探してるのかな?」
だろうな?
国道へ出た、ここから海はすぐそこで、大きな岩の向こう側にコンサート会場がある。
「まっかだよ?」
消防だけじゃなく、パトカーも出てるのがわかる。
コンビニも商店なんかもなくて、ジロちゃんはたばこの自販機がねえとぼやいていた。
会場まで戻ってきて、起きているスタッフにその話をしたら、彼等も聞いているといって、注意していることを話していた。
最初のコメントを投稿しよう!