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俺達は海岸沿いを歩くことにした。
「スゲー、見てお月様きれー」
ホントだ。
スマホを取り出し写真を撮る俺たち。
「花火ってこっち側でしてたんだろ?」
「すごいよね、砂浜、ビーチだ」
写真を撮り、SNSにあげるといっているのに、好きにしろといっている。
戻ってきた、駐車場は、山の反対側。
俺は海の側に行くと、オーなんだこれ?
みんながそばに来た。
「たけーな」
山を切って駐車場にしたのかもなと言いながら下をのぞく。
下は岩場の様、でも小屋のようなものが見える。
船とか置いてあるのかな?
僧かもなと、俺たちはそこから行こうとした。
「おい!」
ん?
ロクちゃんが、小屋に明かりがというのだ。
俺達は、身を乗り出してみた。
「ほんとだな?」
懐中電灯で照らすような明かりが動いている。
「ねえ、何か聞こえない?」
何?
男達が笑っているような声?
下からか?
向こうじゃないよね?
駐車場には、数台の車。
地元?
違うな?
ここは俺たち関係者が借りてるからその車じゃないかというのだ。
行くか?
でも聞こえたんだ。
「聞こえた?」
「ああ、ヘルプだ!」俺は体が動いていた。
「行こう!」
「ジロちゃん警察!」「エイちゃん、スタッフ!」
ああ。おお。
「階段!」
「どこ!」
「こっち!」
下へ行くとその声はもっとはっきりしていた。
数人の男の声に女性の声もする。笑い声と、やっちゃえというような声。
助けての声がした。
ここだけはジャリで歩くたびじゃっじゃっという音がするが、向こうは聞こえていないようだ。
小屋の中から聞こえる声は、酒を飲んで酔っ払っているようにも聞こえる。
外に出て走る音。
「走っても無駄―」
「こんな時間にここにいるのが悪いんだよー?」
やっちゃえ、やっちゃえという女たちの声。結構いる?
どうする?警察だって言おうよ。
早く―?
よし!
「警察だ、ここで何をしている!」
俺達は明かりを向けながら大声で言ったんだ。
「やべ!」
「キャー!」
アリの様に散り散りに逃げる人たち。
階段は一つ、そっちに向かう人は上で御用だ。海岸線を行くのは、どこからか走って行く音だけがする。
「誰かいませんか?」
「隠れてないで出てきなさい」
ドポン!
俺は降りかえった。
「何?」
音がしなかったか?
すると上から降りてきた、エーちゃんとジロちゃんが大声で何かを言っている。
上には、スタッフたち、明かりが見えている。
指さす方。
「落ちた?」
俺は走り出していた。
「ダメ―!」
「やめろー!」
その声も聞かず俺は海の中へと入っていた。
懐中電灯に照らされた金色の物はすぐにわかった。
ずるっ!
やべ!
ドポン!
足を取られ、海の中にひきずり込まれた。
でもすぐの所にいたようで、伸ばした手が腕をつかんだ!
無我夢中でバタ足、海面だろうか。
ア~なんて綺麗なんだろう。
一瞬、海の下から見えた明かりが、見たことのないもので、それに見とれそうになった。
「プハ~!」
「出てきたぞ!」
「誠二、捕まれ!」
何かが飛んできて、捕まれの声に必死にしがみ付いた。
抱きしめた人は女の子、金髪が月明かりに反射して綺麗な子だった。
海の中は真っ暗で、みんなの灯りがなければ俺も死んでいた。
出てくるとこってり怒られたけど、彼女が生きていて、それだけでよかった。
大勢の人をかき分けやってきた男性が彼女に抱き着き何を言っているかわからないけど、泣いていたのだけは分かった。
俺達はそのあとこってり怒られたが、若い地元の連中が酒を飲んで暴れて彼女はそれに巻き込まれたみたいで、無事でよかったと頭を下げた人もいた。
まあ、これで一件落着かな?
宿の人たちと一緒に帰って来て、もう一度風呂に入った。
生きていてよかったと、みんなに言われた。
すみませんでした。
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