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第四話
飯を食い終わるころ、黒塗りの車が数台やってきた。
中から出てきたのは村長さんと消防の上の人らしい。
それと地元の新聞社だ。
俺達は人命救助をしたということで表彰され、写真を撮られた。コンサートと共に載せますんでという新聞記者は、俺たちと少しだけ話した。
みんなが帰り、一息つく暇もなく、俺達は、リハーサルへと向かった。
今日は早いぞ、三時から始まり、九時には終わる。
お客さんは入っていて、俺達は、リハーサルというよりも、もう一度出る順番に確認だ。出る人たちにも挨拶をして、大御所さんはもう終わったと、笑い声がして、そこだけ、浮いているようだった。
時間あるな?
どこ行くの?
裏側。
ジュンちゃん?
いたらな?
俺も行く!
ジロちゃんに言うと、時間までに戻ってこいとだけ言われた。六時まで時間ありすぎ。
駐車場へ行き、そこから階段を下ると、上に行く方もある、そこを登っていった。
「こっち?」
さあなと言いながらも歩いていった。
「うわー、地球丸」
うっせーよと言いながら、俺は、左から聞こえてくるコンサート会場の音が聞こえない方を見ながら探していた。
クンと引っ張られた。
あれじゃねえ?
下を指さした。
その子は暗い海を眺めていた、でもわかる、周りが金色に照らされて・・・金色が光っている。
「あ、投げた」
俺はその子がいる方にかけていた。
「マミー」
腕を振り上げたのを止めた。
びくっとした子。ごめん。
「ジュンちゃん?」
「俺たち覚えてる?」
彼女はじりッと下がった。
あーごめん、と手を離した。
「助けたほう、わかる?」
俺は泳ぐ格好をした。
コク、コクと頷く子は確かに女の子で、髪を二つにして結んでいた、小学生?そんな感じの子だった。
きゃわいいー、人形じゃねえか。うっせーよとぽかりと殴った。
実はねと、彼女に拾ったボトルの話をした。
それを奪い取るように俺の手の中から取り上げた。
「わりーな、俺たちみたいのが拾っちゃって」
首をぶんぶん振った。
「俺さ、さっき」
「歌、歌ってた」
「そう、俺、こう見えて歌手シンガー」「俺ベーシースト、よろしく」
「すごいね・・・」
あれ?どうかした?
「すごいね、日本語話せるんだ?お母さんに教わった?」
コク、コク頷いた。
目をごしごしと握りこぶしで拭いた、泣いていたのか、なんだか絵になる子だな?
腰に掛けてあった手拭いを差し出した、汗臭いけど…。
「ありがと」
と言って顔を拭くと、クサイと言って笑った。
めちゃかわいい~。
「あのさ、よければ、これ、なんて書いたのか教えてもらってもいい?」
「たいしたことないから」
「でも、これ、フランス語?すごいね」
じわっと眼のふちにまた涙がたまるのが見えた。
悪いこと言ったかな?
お婆ちゃんにちょっと聞いたんだ、お母さんすごいね、ボトル、海を渡ったんだね?
彼女は持っていたボトルをぎゅっと握りしめた。
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