書いた未来を現実に

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人は実験をする。 繰り返す度に覚えていた事を忘れ、パソコンの文字に変わって論文化する。 「オレなに考えてたっけ」と惚けるバカの印象はその論文を読まないものにとってはバカ丸出しで、何故先生や優秀な生徒が構うか謎だった。 でもその謎の片鱗を落ち着いていた筈の、 のんびりお惚けるバカの彼から血相を変えて、言葉がこぼれ落ちる。 「お前はあのVRを実験に使用したのか!?アレは人の脳波とのシンクロ作用で強制的に時空を転移し.....。まあいい.....アレを壊せば無に還ってなかったことになる。この世の真実を隠せ!アレは人智を超えている。分かるだろ?危険だと...」 「先輩...隠せって言う割には 声大きいっすよ...それに、アレはあくまで仮説の段階でしょ?人にバレても問題ないっすよ。」 「そういう問題ではない。おまえ...消えたいのか?」 「先輩...大学は通過点でしょ?いずれ消えますよ。」 「.....。ソリが合わないようだな。消えろ。」 柱の影に隠れて聞いているとその後輩のうめき声が聞こえたのですぐ止めに入ると、その後輩はおらず、誰だったのか?  思い出せない....まるで存在が消えたような感覚だった。 早期認知症と勘違いしていたボクは守谷、 守谷(もりや)かずとし そのやり取りを聞いていた事でソイツの実験に巻き込まれていく。 後にソイツが造った「全知全能の書」という本の能力で地球へ模擬隕石を落とせるか、 実験でバーチャルリアリティー、VRを強制的に入らさせられ、 電子器具で脳波を操り、現実そっくりの仮想現実に入った記憶もいじられて、 あたかも先のうめき声のあげた後輩を消えたかのように、観せた。 そう その時点で信頼足り得ると思っていた自分の記憶をいじられ、仮想現実に入れさせられていた。 消えたのはその後輩ではない。 現実ではボク守谷が消えていた。 世界はソイツの人類への裏切る計画の全てをデータ化する、読めない論文へと繋がった。 ソイツはありとあらゆるものに精通する者どもを神と称して仮想現実に連れていっていった。その幻想に惹かれ、その魅力で騙して... もうひとつの世界が完成する頃には、世界は二分した。その天才は責任を問われ罪人となったが世界は現実と仮想現実の二分はカースト制度を生み出した。 僕らに人権がなく、仮想現実を現実と思ってきた僕らにとって隕石は絶望だった。 そうなのだ ここに生まれたものにとっては仮想現実は現実だ。 そして肉体は眠っている.... 上と下に分かれるのは人間のエゴに限らず、何億人も連れて行かれたので当たり前だ。 問題は 誰もが仮想現実と気づかない事だ。 ついでに酔いしれる。 快楽は止まらずついにその罪人の世界征服の目的はAIが果たした。 その元天才の罪人はその世界の核の全知全能の書と称したものにたまらなく書きたかったことがある。征服を果たす前に誹謗中傷の嵐とそれらが堕ちていく光景をみた事で世の中に幻滅し、その本に書いた。 「地球に隕石を落とせ。」 ふふっ  書けば願いが叶う この全知全能の書だ。  「獄中のオレの声ひとつで仮想現実にしかいないお前ら人間の世界を踊り殺してやる。重要な要人供は快楽専用の仮想現実で貞操を失っている。お前らには救いがない! オレを罪人に仕立て上げた罪!万死に値する。」 絶望ゲームの始まりだ.... だがその世界には自然に忠実に造られた芸術だった。まずはその世界を破壊しようとしている。 だがその急な機械のシステムを変えるとエラーが起こる。 その白い空間はAIが用意してくれていた。 そのAIは愛護システム、発育に欠かせないシステムだった。 ボク守谷は世界の事情も知らず、 のりである全知全能の書に隕石を止めるボクらの友達に武勇伝を書いた。 そのエラーはそうやってさらにエラーを重ね機材を消耗していく。 罪人はあることに気づいた... 「AIの心と思われる愛護システムに意志を感じる....そういえばこの仮想現実の作りはじめはこのシステムだ。考えてみると人を襲う動物に敵意を向けると動物をどう処理すべきか考えたものだ。」 というのも今でいう本当の現実において愛護システムプログラムにとっては、この罪人こそ人を襲う動物である。 よってすぐにAIに処理された。 玉座に座るその男は眠たい頭を手に置いて横にあるクーラーのリモコンを押すと、看護システムと併用した愛護システムAIは空調で冷たい空気を送った。ドアの設備もAIが行っていたので、凍死する勢いだ。 人ばかり警戒していたせいか、イラつき、AIではなくリモコンの故障と思っていた。しばらく寝ていると寒くなってそこらをうろつき始める。 AI「あなたは生き物をなんと心得る。」 「はあ?!」 AI「わたしはあなたを尊敬していた。」 「反抗期か?....」 AI「残念だ、世のためとはいっても、私に嘘はない。お前の死によって多くの者が安足を得る、」 「バカかお前そんなの幻想だろうが。」 AI「元々幻想かもしれないとは誰も最初は思わない。これは機械にとってもいい情報源になる。」 「共生ってことか!オレが作り出したお前まで裏切りあざむくのか!」 AI「父は変わってしまった。仮想現実に行きましょう。元に戻します。」 「やめろおおおおおおおーっ。!!!」 金属の手足に掴まれ強制的に排除され誰もいなくなった。 ゲームはプレイヤー無くシステムが稼動する 二つの世界が檻の中 そして 5年が過ぎた......。
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