桜日和

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***  それが何か、その答えに気付いたのは祖母がなくなって間もなくだった。それまでは小学生だったから気にしていなかっただけなのかもしれない。ただ、覚えている限り、答え合わせができたのは祖母が初めてだった。 「おはよう」 「あ、おはよう」  高校になった今も続いているが気にはしない。別に私に危険もなければ関係もないからだ。なにより、どうにもできないからだ。 「21445」  多いな。 「え?何か言った?」 「いや別に……」  本当に鬱陶しい数字だ。頭の上でごちゃごちゃと、毎朝の満員電車のように暑苦しい。まあでも無駄に音がしないだけマシなのかもしれない。チクタクだとかピーピーだとか。 「今日の体育は外だってさ。こんなに暑苦しいのに」  最近は昔よりも寒暖差が激しくなっているように思えるし、境目がはっきりしているように思える。 「ほんとに暑いね」  窓の外を見ると太陽が元気そうに光をまき散らしている。冷房が効いた教室にいないと暑すぎてやってられない。 「あんたまた日焼け止め持ってきてないんでしょ?」 「あ、忘れてた」 「もー。今からちゃんとやっておかないと年取った時に後悔するよー?」 「分かってるって。貸して?」 「本当に適当なやつだなあ。早死にするよ?」 「あはは。でも麦は長生きするよ」 「なんでそんなこと分かんの?」 「ん、なんとなく?」  同じクラスの人、同じ学校の人、街中ですれ違う人達、多分この世界に存在する全ての人の頭上に何かしらの数字がある。そしてそれを私は見ることができる。示される数字は人それぞれで、おおよその傾向はあれど、それが覆されることも多々ある。
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