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ラジオ体操のことか!!
「ノット ダンシング ノット スィング ソングス!!」
いきなりテンションが上がった私に、目の前の若者は少し驚いたようだった。
「エクササイズ、エブリー モーニング」
伝わったかどうかはわからないが、それはまあ、良い。
これから、説明する時間はいくらでもあるのだし。
この若者なら、私の他愛ない話も楽しく聞いてくれるだろう。
そう思うと、久しく思い出すこともなかった子供のころのあれこれが、急にあふれ出てきてしまい、自分でも驚いてしまう。
毎朝ラジオ体操に通った神社にあった、2本の巨木。
神社の境内で、捕まえたカブトムシの大きさを競い合っていた友人達のこと。
夜にお祭りの縁日でヨーヨー釣りをしたこと。
太鼓のお囃子に胸が高鳴ったこと。
ソースの焦げる、あの焼きそばのにおい!!
突然、そのすべては、今はもう失われてしまったことに思い至って、現実に引き戻される。
夜が明けたら、私は船に乗り込み、この地球を後にする。
息が、詰まる。
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