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5秒か10秒か、多分、それほど長い時間ではなかったと思う。
目の前の若者が、私の目を覗き込んでいた。
そして、ぽんぽん、と2回、私の腕を叩いてくれた。
この若者は、私の気持ちを分かってくれている。
涙が、こぼれるところだった。
自分の中に、こんな感情が残っていたのか。それとも、地球最後の夜というこの状況に、私も少なからず感傷的になっているのだろうか。
目の前の思慮深い若者が、ゆっくり深呼吸してみせたので、私もそれに倣って大きく息を吸い込み、ゆっくり吐き出した。
思わず出た照れ笑いに、もう一度、若者は私の腕を2回、ぽんぽん、と叩いてくれた。
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