必ず戻る

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必ず戻る

「必ず戻るから待ってて。」 そう言って僕は君を置き去りにした。 結局、僕はあの日の約束を守れないまま 二度と君の元へは戻れなかった。 君は僕との約束を信じてずっと 待っていてくれたのではないだろうか。 そう思うと胸が苦しい。 いっそ僕を裏切って待たないでいてほしかった。 僕という人間はどこまでも勝手な人間だ。 優しさのつもりだった。安心させたかった。 もちろん、戻るつもりでいた。 世界は残酷だった。奇跡は起きなかった。 まだ未熟な僕はたった一人で何も出来なかった。 どれだけ恨まれていたって構わないから 君がどこかで元気に生きていることを願う。 その僅かな希望だけが生きる力になる。 そしてもう二度と同じ過ちは犯さない。 もう二度と、君のように寂しい思いを 誰にもさせない。 たった一人だとしても僕は抗おう。 この世界と向き合おう。 小さくても前に進むんだ。 どうか、お願いです。 もう二度と僕のように悲しい約束を しなくても良い世界になりますように。 誰もがひとつひとつの命と真剣に 向き合う世界になりますように。 あなたの力が必要です。 少しでもいい、力を貸してください。 考えてみてください。 思いとどまってください。 知ってください。 どうか、目を逸らさないで。
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