答え

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答え

 朝、淳を迎えに行き、スタジオへ連れて行く。  事務所から大分離れたスタジオ。  淳はいつもよりイライラとしている。  午前中で終わるはずだった撮影が機材の搬入の遅れで、押しているのも原因のひとつではあるが……。 「宮、マスターの所に名刺入れ取りに行ってくれよ」  イライラの原因はこれ。昨日忘れた名刺入れが気になっているのだ。名だけじゃない、生活に必要なクレジットカードが入っている。直樹君が気がつけば預かっているか、マスターに預けているだろう。喫茶店に電話を入れたが珍しく留守のようで電話は繋がらなかった。 「駄目ですよ。ここから何時間かかると思っているんですか」 「だって~。直樹が事務所に来るかもしれないだろ」 「それなら事務所で受け取って帰ればいいじゃないですか」 「今日潤は?」  そして、もう一つの要因。  2人とも好みが似ている。  双子だからなのか、食べ物も飲み物も好みが似ているし、好きなタイプも似ている。  だからこそ淳は『直樹くん』を潤に会わせたくないのだ。 「夕方から泊まりでロケに出ます」 「お前行かなくていいの?」 「あなたを次の現場に送ったら急いで帰って移動です」 「忙しいのな」  そう思うなら、まじめに仕事をしてほしい。気分で仕事をしないでほしい。現にイライラしているせいなのか表情が固くて撮影の進捗状況は芳しくない。 「呼ばれていますよ。私の仕事を軽くするためにもさっさと済ませてくださいよ」  淳の背中を押す。
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