487人が本棚に入れています
本棚に追加
「わかった」
そう言ってホテルに入って行った。事務所で待つ潤を迎えに行く。
駅前を通る時に喫茶店を見るが、すでに閉店していた。
事務所の駐車場に車を止めて中に入る。
「潤はいますか?」
受付で聞く。
「中にいますよ」
急いで中に入っていく。
「只今戻りました」
応接セットに潤が座っている。
手には淳の名刺入れ。
「これ、預かったわよ」
「ありがとうございます」
受け取ろうとするが、そのまま腕を引かれて受け取れなかった。
「あの子だれ?」
「会ったんですか?」
「私がここに来た時にちょうど上がってきたのよ。『困っている時はお互い様ですから』って、『昨日は助けてもらった』とかなんとか言っていたけど、何のこと?」
「えっと……」
昨日の痴漢の件を話す。潤はニヤニヤ笑いながら話を聞いた。
「あいつもお節介よねぇ~。わざわざ首を突っ込まなくてもいいのに……」
「そうですね」
潤が指さすので、仕方なく向かいの席に座る。
「でも、可愛い顔してるわね。磨けば光りそうよ」
「私はよく見てないですから」
「そうなの? モデルにスカウトするなら早いほうがいいわよ。で、私にちょうだい」
最初のコメントを投稿しよう!