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もう一度名前を呼んで、胸に顔を埋めて目を閉じた。
「首……見えてるぞ」
スタジオに入ってすぐに横に並んだ淳がそう言った。
「何です?」
首を押さえる。
「キスマーク」
「え?」
誰の?
昨日の晩のことを思い出して慌てて首を隠す。
「よく見なきゃばれないよ」
そう言って、撮影用のスクリーンの方へ歩いていった。
今朝も出掛けにキスをされた。
仕掛けてきたのは空也だけど、長引かせたのは自分。
そのせいで10分近く淳を迎えに行くのが遅れた。
Yシャツを少し持ち上げて、衿を正す振りでキスマークを隠した。
午前中いっぱい撮影があって、昼から少し時間が空いて、夕方からラジオ番組の打合せ。
そのまま夜の本番が始まって、終わったのは深夜1時。
明日は朝から夕方からあるショーの準備。
打ち上げもあるので帰りは分からない。
マンションに帰ると、空也の部屋から明かりが漏れていた。
『コンコン』
ノックしてから「帰りました」と告げた。
そのまま風呂に入って、自室のベッドに潜り込んだ。
1人で寝たはずなのに、明け方目を開けると空也に抱かれて眠っていた。
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