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バックミラーで見られていたらしい。
そんなに挙動不審になっているんだろうか。
しばらくするとマンションに着いてしまった。
「降りないのか?」
後部座席から降りようとしないせいで淳が声をかけた。
「先に上がってください……」
鍵を受け取って車の中に留まる。
淳がエレベーターで上がるのを見送った。
メール……結局打ってない。
時間はまだ7時過ぎ。
こんなに早いとは思わなかった。
今日の撮影が長引いてくれたらよかったのに……。
このままここで寝てしまおうか。
メールも打ってないから帰ってきてることも分からないだろうし。
身体中が熱い……。
どうしよう……。
携帯を握りしめて、運転席の後ろにもたれ掛かった。
「何してるんだ?」
不意にドアが開いて、ビックリして顔を上げた。
「……何で?」
「あいつが、お前の様子がおかしいって言いにきた」
淳……。
空也は上着も着てないし、足下もサンダルだった。
顔も上げられない。
緊張で身体が強ばってしまって動けない。
「具合でも悪いのか?」
空也が背中を触って、ビクッと身体が揺れた。
「いえ、な、何でもないんです」
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