『愛してる』

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 パタンとドアが閉まる音。 「閉めただけだ」  戻ってきて、眼鏡を取られて、サイドボードの上に置かれた。  キスされる。  甘く触れるだけを繰り返す。  唇から鼻、頬、額、髪の毛……。  それが耳に降りてきて、首。  くすぐったくて、身を捩る。 「甘い……」  ぺろりと舐められて耳元で囁かれた。 「甘党だからか? お前は甘い匂いがする」  スンッと鼻を吸われる。  そう言えば、風呂に入ってない。 「空也、私、風呂に…入ってないので…」 「後にしろ」 「汚い」 「入れない時には入れてやる」 「でも……」 「うるさい」  唇に再びキスが落とされる。  歯列を割って、舌が入ってきて上あごを擽られて、奥に引いた舌を吸い出されて、絡ませられる。  飲み込めない唾液が端から溢れる。 「はぁ……んんっ……ん」  深い口づけに酔う。  自らも舌を追って、空也の口内に舌を絡ませる。  チュッと音をさせて、唇が離れる。  腕を引かれて、向かい合わせにベッドに座る。 「腕上げろ」  言われて両腕を上げてバンザイする。 「素直だな」  ニヤッと笑って、セーターと下着を一緒にスルリと脱がされた。  パサリと落ちる音。  続けて空也が上着を脱いだ。
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