6人が本棚に入れています
本棚に追加
あれだけ仲良くしていたのに、どうしてあんなにも簡単に関係を断ち切れるのか。
最初はかなり戸惑ったが、よく考えると彼女のことを何も知らない。
彼女が1人で暮らしていた六本木の部屋にはよく遊びに行ったが、実家がどこで親が何をしている人なのかは全く教えてくれなった。
きっと何か事情があるのだろう。
そのうちひょっこり、どこかの国の要人としてニュースに現れるかもしれない。
だって彼女は、「世界を救う」と宣言してアメリカに渡っていったのだから。
もうすぐ7時だ。
そろそろ出かける準備をしなければ。
携帯を置いて立ち上がろうとしたとき、LINEの通知が来て画面に表示された。
「警視庁勤務初日、頑張ってね」
職場の同僚からのメッセージだ。
警視庁……?
しまった。そうだった今日だった。
慌てて警視庁を検索し、地図でガイドを出す。
あと15分以内に家を出ないと間に合わない。
どうしていつもこうなるのかなぁ!
ベッドから跳ね起きて洗面所に駆け込もうとした瞬間に、壁に足の小指をぶつけて悶絶する。
どうせ今日もろくな一日にならない。
そう確信した瞬間だった。
最初のコメントを投稿しよう!