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「怖いねぇ…」
付き合い始めて3年、同棲を始めて1年の彼女。
年の終わりに世間を震撼させている、残忍な事件のTVニュースを観ながら呟いた。
「脚1本だけで誰って特定するなんて…絶対無理だよね」
ふと彼女はテレビの前から、壁を背にして雑誌を読んでいる俺のそばに寄り、急にTシャツを脱ぎ出した。
「えっ…何で急にその流れっ!?」
俺は慌てて雑誌を伏せ、思わず座布団の上に正座をする。
「ちーがーう。背中、背中見て」そう言って彼女は俺に背を向ける。
「私の背中のほくろの位置、知ってる?」
「あ、そうだ」彼女は鞄に手を伸ばし、今年の手帳を出してメモの空白ページを広げた。
「ここにね、私の身体の特徴を書いておくの。バラバラ死体になっても、例え何人かの身体が一緒にあっても、これがあれば私を見つけやすいでしょう」
名案でしょ!と言わんばかりの屈託のない笑顔で振り向く彼女。
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