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夏の夜と言えば、やっぱり花火。でも、冬に花火というのも悪くなさそう。どうして花火って夏にやることになったのかしら。
打ち上げ花火は、冬の方が空気が澄んでいて綺麗に見えそうだし、家庭花火にしても湿度がないからいざ点火のときになかなか着火できないとか、無惨に焦げて終わってしまう……なんてこともないはず。思い返せば小さい頃は、よく近所の友達たちと集まって花火をやってた。そのとき、湿気った花火に苦戦してた子が幾らかいたのを覚えてる。
ただ、みんなは楽しそうだったけれど、私にとってはあまり楽しくなかったわね。その雰囲気を多少楽しむことはできていた……と思いたいところ。
あとは、そうね。冬は虫が少ないから蚊に刺される心配もないということが一番。
なのに、夏の風物詩として存在するのはどうして? 暑さを我慢して、虫たちを我慢して、わざわざ夏に行うのは……いったいどうしてなのかしら。
私には、あの日まで分からなかった。夏に花火の意味を――
「――てことだから、今年はヒナ。お前を連れてくぞ」
放課後、近くのファミレスに呼び出されたかと思えば……。
「っ、待ってよ……まだ行くって言ってな」
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