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目が見えてれば、こんな不便なことにならないのに……やっぱりこういう初めての場所にくるもんじゃないのかしらね。通り慣れた道ならともかく、知らない道はもはや一人じゃ歩けない。すごい人の列だって言ってたし、背の低い私が立っていたところで、見つけてもらえるかも分からないわね。これならいっそ、叫ぼうかしら……。
「はぁ……トキタ君の馬鹿。ずっとそばで見張ってるんじゃなかったわけ」
もし見つけてもらえなかったら、誰かに電話を借りるしか無い。でもトキタ君の番号は覚えてないし、家にかけることになるだろう。そんなの嫌すぎるわね……。
その時だった。耳に入る聞き覚えのある声。
「ヒナーっ!」
「……トキタ君?」
私はその場に持っていたものを全て置いて、一歩前に。彼の声のする方へ腕を上げた。
「トキタ君……!」
「ヒナー! どこだヒナーッ!」
「トキタ君!」
「ヒナ……! そっちか今行く!」
私を呼ぶ声はみるみるうちに近づいてくる。
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