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「そうなのね……ごめんトキタ君。せっかくいいところ取ったって言ってくれてたのに」
「そんなこと気にすんなよ。もとはと言えば、あいつのせいだ……くそ、今度謝らせてやらないとな」
「あいつ?」
「あぁ……さっきの腐れ縁の同級生。違う高校に行ってるんだけど、中学の時は何から何まで一緒でさ。結構素直なやつなんだよ、たぶんヒナも気にいるぞ」
するとそこで、ヒュー……っという高い音が響く。トキタ君の「始まったな」という小さい声のあと、空気を震わせる音があたりに敷き詰められた。
――ドーンッ!
そしてパラパラパラと音がつながっていく。
「すごい……こんな振動ってくるのね」
「そうだろ? 近くにいると、体ん中でも打ち上がってるみたいでさ」
「トキタ君が言ってた、感じるって……こういう意味?」
「そうそう。それにほら、あっちにライトグリーンにピンク、向こうに白い円がいくつも! 今度はほら、めっちゃ綺麗な青色だぞ!」
こうして実況みたいに、私に色や形を言い始めた。でも私は、途中で気づいた。ここからは、本当は花火が見えないということに。
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