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 やっぱりトキタ君は、私に何かを教えてくれる。そして気づかせてくれる人みたいね。  そう思った私の心は、スッと何か縛るものが解けたようで……自ずと口が開いた。 「私ね……目が見えないからって特別なところで特別に歩まされるのが嫌だから、こうして健常者と同じとこに通ってるのよ。  用意されたものを使っていくだけなんて、なんだか負けた気がしてね。でも気付けば、やっぱり馴染めないしうまくいかない自分があって。その苛立ちは、自分の殻になっていってしまったのよね……」 「一歩踏み出すのって怖いからな。もう踏み出してるなら、あとは休んででもゆっくり歩けばいいんじゃない? って俺は思うよ」 「ほんとに……そうかもしれないわね。  例え花火が見えてなくても、トキタ君が私にこうして見せてくれた。見えないはずのものが、なんとなくでも私には見えた。  可能性って、決めつけなければ無限大にあるのよね。そんなことをいま、知った気がするわ……」  夏の夜がもっと、冬のように長ければ良かったのに。そんなことを思いながら、私の初めての花火大会は幕を下ろした――
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