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それにさ、お前覚えてる? いつか俺が友達と花火見に行った時のこと話してたら、そんなもの見たことないから面白さが全く分からないって言っただろ。んで、こうも言った。
見るだけなら画面でも十分なんじゃないって」
「わたし……そんなこと言ったっけ」
我ながら皮肉めいた言葉ね。きっと感情の起伏の産物、いわゆる負の遺産である。
「え……いやいや、覚えてないのかよ!」
「んーごめん。たぶんその時は少しやき……あっいや、なんでもないわ」
「ん……? まいいや、だからさ。見るだけじゃないんだってのをヒナに感じてほしいわけ。だから今年は絶対ヒナと行くって決めてんだよ」
「……ふーん」
悔しい。少し口元に本音が出そうになったから、私はオレンジジュースを吸った――
そして花火大会当日。私は着慣れない浴衣に身を包み、高校の最寄り駅でトキタ君と合流し、電車を乗り継いで花火会場へと向かった。
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