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私は握られた手を通して彼が立ち止まったことを知る。どうやら男の子の友達みたいね。
「だろー? これな、兄貴の行ってる専門学校の人が作ってくれたの、どーヤバくないか? じんべーってのを仕立て直してとかなんたら言ってたんだ」
「へー、モダンな和服って感じで涼しげだし、良いな」
「そうだろー? とゆーか、ちょっと来い……! お前俺に黙って彼女なんていつのまに作ったのかよ」
「やめろって、別にいいだろ。だいたいちげーよ」
「嘘つくない、この裏切り者めーっ」
「っおい、やめろって。わかったから!」
私の手からトキタ君の手が離れてしまった。声は少し離れたとこにいってしまう。
声の感じからして、きっと羽交締めにされて戯れられているって言ったところかしら。私は、ふんと鼻息を抜いて声の方に歩もうとするが……。
――ドスっ。
不意に誰かとぶつかってしまい私の口からは「……っあ、ごめんなさい」と反射的に言葉が出た。
「すいませーん」
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