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「部屋暑くない?」
「そりゃ夏だもん。あんた酔っ払ったんじゃないの?」
「別に酔ってねえし。クーラーつけてよ。」
「はいはい。もう、リモコン目の前にあるじゃない。」
「えまじ?つうか、勝手に付けたら怒るだろ。」
「怒らないわよ。叩くだけだもの。」
「いやもっとタチ悪いわ!」
こんなくだらない会話をしながら
たまたま流れている、サッカーの代表戦をつまみに飲む。
悪くは、ない。
「最近どうよ?」
「どうって…大学院のこと?」
「そそ。やっぱ忙しいの?」
「忙しくないって言ったら嘘になるけど、別に社会人に比べたら楽よ。学生だし、授業受けてれば終わるもの。」
「そっか。」
「そっちはどう?メッセージにもあったけど、結構忙しいみたいじゃん。」
「もう上司に理不尽なこと言われすぎてさ…こっちはまだ新人だっての。」
「やっぱり、社会人てどこもそんなもんなんだね。」
「まあなー。でも、大学生も大学院生も社会人も、それぞれ大変なことはあるし、ただベクトルが違うだけだから。比べるもんじゃないよ。」
「あんたのそういう考えしてくれるとこ、私は好きだよ。」
ドキッとした。
久しぶりに聴いた言葉。
懐かしくて
もどかしくて
酒が、強い。
「あんた顔赤いよ?マジで酔ったんじゃない?」
「酔った…かも。」
「気持ち悪かったら横になる?ベッドに吐かれるのは嫌だけど。」
「いや…」
ゆうの肩に
頭を乗せる。
「こうしてれば楽、かな。」
顔が近い。
ゆうの匂いがする。
甘い。
ブー ブー ブー ブー
俺のスマホが鳴っている。
ブー ブー ブー ブー
吐息が、熱い。
ブー ブー ブー ブー
唇の感触と同時に
舌と舌が転がり合う。
ブー ブー ブー プツッ
「いいの?こんなこと…」
言葉に唇で蓋をする。
何とも言えないこの感情。
自分の中で自分が暴れている。
もうどうにでもなれというよりは
全てをぶちまけたい
ただそれだけの欲求。
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