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「た、助けてくださーい! か、傘のおばけが!」
ユメコちゃんじゃなかったのですが、誰かに会えたのは大いに心強い。僕は声を張りあげると、大慌てで駆け寄って行きました。
「……んん?」
その声に、小僧さんは駆け寄る僕の方を振り返ります。
「……ひっ!」
ですが、その顔は人間のそれではありませんでした。
鼻と口は人と変わりませんが、先程の唐傘おばけ同様、顔の真ん中に一つだけある大きな目玉……それは、〝一つ目小僧〟だったのです。
「ひゃ、ひゃああああーっ…!」
僕は、またしても悲鳴をあげて逃げ出しました。
ここは最早、単なる夜の墓地などではありません……幽霊が出そうな雰囲気どころか、実際におばけが出る夜のお墓なのです!
「うわああああああーっ…!」
またも僕は、逃げ道もわからぬまま真っ暗な闇の中を矢鱈滅法に逃げ惑いました。
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