9人が本棚に入れています
本棚に追加
僕の見ている前で、不思議なことが起こりました……彼女の白く細い首が、徐々に徐々に長く伸び始めたのです。
最初は気のせいかとも思いましたがそうじゃありません。その首はどんどん、どんどんと伸びてゆき、宙でぐにゃりと曲がって方向転換すると、その顔は僕の方へと迫って来ます。
「…………」
「この首を伸ばして捜せば、その子もすぐに見つかるさ」
何がなんだかわけがわからず、ポカンとその光景を眺めていると、迫って来たその〝ろくろ首〟の頭は僕の耳元でそう囁きました。
「ぎゃあああああーっ…!」
またしても絶叫し、僕が逃げ出したのは言うまでもありません。
でも、滅茶苦茶に走っているせいもありますが、なんだか墓地は迷路のようになっていて、いくら走っても外に出ることができません。
さらには涙のせいでますます視界が悪くなり、いつまたおばけに出くわすかもわからないし、僕はなぜ走っているのかさえわからなくなってきました。
最初のコメントを投稿しよう!