あの夜のことは今でも僕の中に鮮明にあるよ

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 芦ノ湖花火大会の日が来た。 有名な花火大会は混むだろうと昼過ぎに待ち合わせて、とにかく芦ノ湖を目指してドライブが始まった。 楽しくて仕方ない気持ちがダダ漏れの僕の話に結美ちゃんはよく笑ってくれた。 早く出たのが功を奏したようで渋滞に巻き込まれることなく到着できた。 夕方になるにつれ人が増えてきたので、はぐれないように自然に結美ちゃんと手を繋いだ。 花火が見えそうな所に陣取り、危なくないように結美ちゃんの身体半分後ろに立つことにした。 僕の胸に結美ちゃんの背中が時々触れる。 花火の打ち上げが始まった。クリアな濃いネイビー色の空に鮮やかな花々が次々に咲いては消える。 芦ノ湖花火大会は本当は 「芦ノ湖湖水まつり花火大会」と言うらしい。 結美ちゃんは、綺麗だねなんて言いながらはしゃいでいた。 すると、僕たちのすぐ隣にいた話し好きそうなおじさんが話しかけて来たんだ。
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