雨の呪いと星間将棋

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 ボクがそう言ってなだめようとしたんだけれど、ふたりのケンカは止みそうにない。そのとき、ボクらのほうへ駆け寄ってくる人がいた。スラリとしたきれいな女の子。たぶん6年生のほうから来ている。ボクら4年生のところまでなんの用だろう。  するとその可憐な上級生は、ボクの目をチラリと一瞬のぞき込んでから、桂ちゃんの側に立っていきなり桂ちゃんをしかりつけたんだ。 「桂、また歩くんとケンカして、みっともない。仲良くしなさいよ。ご近所さんなんだから。」 「だって、(かおり)おねえちゃん。歩が先に。」 「違うでしょ。ちゃんと見ていたわよ。今日は桂が先だった。」 「でもおねえちゃんは、早く恒星(たいよう)の光浴びないと。」 「あんたそれで外で動きたいと騒いでいたのね。大丈夫。今は人工光源もだいぶ進化してきたから。私の病気も良くなってきたわ。」 「でもおねえちゃん、やっぱり自然光を浴びないと。雨の呪いにかかった子がこの学校にいるんじゃどんどん身体が弱くなってしまうわ。」 「しー、雨の呪いなんて本気で信じているの?」  雨の呪い? 呪いの子? いったい誰の? 「はは、都市伝説だろう。学校が毎日雨なのもさ、そういう仕様だろう。ほら、今なら天候管理システムもだいぶ完成してきたって、ニュースで。なあ、玉男(たまお)。」  みんなボクの方を見ている。4年生だけでなく、1年生から6年生全ての学年の子が。そして先生たちも。 「あ、やばい。誰かスピーカー切って。」
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