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それからしばらくは学校を休みがちだったけれど、ある日ボクの家に友だちがやってきた。金太くんに銀二くん、それに歩くんだ。
「はー涼しい。恵みの雨だよ。まったく6月だってのに、もう30℃を超えているんだからね。気象管理システムは梅雨モードじゃないのかよ。ほんと。みんな玉男に来てもらいたいって思っているんだよ。」
「そうそう。」
「はあ。みんなゲンキンだね。」
「ああ、違う違う。そういう意味じゃないから。スネないでよ。」
「別にスネているわけじゃないんだ。ほんとは学校行きたいけれど、怖いんだ。」
「ごめん。またみんなで来るよ。いつかまた学校にいっしょに行こうな。」
謝るのはこちらのほうなのに。みんなごめん。何かきっかけがあればまた。
明くる日も訪問客が来た。またあの3人が来たのかな。それとも先生がプリントを渡しに来たのかな。オンラインでも授業は受けれているから、プリントいらないけど。
しかし玄関にいたのは、いつもの3人組でも先生でもなかった。そこにいたのは、桂ちゃんのおねえさんの、香さんだった。なぜだか少しドキリとする。
「あ、玉男くん、ごめんねいきなり。ほんとは桂といっしょに謝りに来るはずだったんだけど、桂はちょっと調子崩していて。だから私ひとりだけどごめんね。それで、やっぱり、桂と私の発言がまずかったから、ほんとごめんなさい。」
「いえ、謝られても困りますよ。それにボクの疑問が確信に変わったのだから、スッキリしました。逆に感謝しなきゃ。」
「え、あ、でも学校に来れなくなっているじゃないですか。ほんとなんと謝罪しなくてはならないか。」
「ああ、いやなんだろう。たしかに真実を知って最初はショックでしたけど、それで学校に行けなくなったんじゃなくて、行ったらみんなに迷惑だと思って。それにおねえさん、香さんも自然光を浴びたほうがいいんじゃ。ボクの側にいないほうがいいですよ。」
「ハハ、家の近くで嫌でも恒星の光を浴びているし、それにこの空梅雨じゃあね。あなたの存在は本当に恵みの雨を降らせる神の使いよ。」
「神の使いか。なんかいいですね。」
「少し学校に来る気になった?」
「はい、ありがとうございます。何かきっかけがあればと思っていたところでした。」
「きっかけか。そうだ。この動画見て。」
彼女は立体動画を目の前に広げた。そこには打ち上げ花火の映像が浮かび上がっていた。
「これ、去年の花火大会の動画なんだけど。この前言ってたよね。君の誕生日の前日かな。8月14日の花火大会。今年のにいっしょに行こう。」
「え? でもボクが行ったら。」
「ふふ、これは願掛け。君がしっかり学校に通えるようになったら、きっと観れる。私こう見えても晴れ女なの。」
「ほんと?」
「へへ、ただ恒星の光しっかり浴びなさいってお医者さんに言われているだけだけどね。夜も自然と晴れてきれいな星空が見えているかも。」
「きれいな夏の大三角形も見たいな。」
「じゃあがんばろう。」
「はい、がんばります。」
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