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香先輩との高校生活は何もかもが新鮮だった。けれどもボクの晴れやかな心とは裏腹に、いっこうにボクの周りの天気が晴れることはなかった。しまいには高校の同級生や先輩からもけげんな顔で見られるようになってしまう。ああ、やっぱりここでも、ボクは雨の呪いを受けた子なんだ。
それでも気持ちに比例してか、だんだんと雨足が弱まるようになったように感じる。いい兆しだ。そう信じてただただ祈るのみ。神か仏か、それとも雨そのものか恒星にか。夜だから月や星々かもしれない。それとも彼女自身にか。
祈りとは通ずるもので、夏休みには奇跡的なことが多く現れるようになる。お天気雨だけど、3歳から未だに拝んだことのない恒星の姿を拝むことができた。それまで見たこともなかった星々を見られるようになった。こちらもお天気雨状態だったが。このままいけばもしや。期待が膨らむ。
香先輩に報告すると、彼女は我が身のように喜んでくれた。そしていっしょに当日の晴天を祈った。いよいよ明日が花火大会当日。その日に限って、土砂降りの雨だった。いやもしかしたら今日で全部降り終わってしまうかも。諦めないで祈り続ける。
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