せる、じゃねーよ

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「あらあら、だらしないですね。気を失う前に、この写真を見ていただけますか?」  そう言って、ミナミは一枚の写真を翔吾の目の前に差し出してきた。  翔吾は怯えて目を閉じている。 「……しっかりご覧になって。ほら……ッ!!」  ミナミは、翔吾の瞼を無理やり開くように指で引っ張った。  充血した眼球が剥き出しにされる。  そこに向けて、ミナミは写真を再度、押し付けるようにした。 「……写っている女性の姿に見覚えがありますよね。この女性は一年前まで東京の商社に勤めていましたが、今は心身のバランスを崩して仕事を辞め、実家に戻っています。……なぜ、彼女が病んだのか。当然、翔吾さんはご存知ですよね?」  翔吾は「ゔぅー、ゔぅー!」と唸りながら、必死に首を横に振った。  自分は知らない、関係ないとでも言いたげな様子だった。  ミナミは手に持ったアイスピックを、ドンッと翔吾の顔の側に突き立てた。   「……少し、静かに出来ますか?」  ミナミはニッコリと微笑んだ。  けれど、その眼は笑っていない。  額からツーっと汗を垂らし、翔吾はすぐに大人しくなった。 「翔吾さん。あなたはこの女性の飲み物に睡眠薬を混ぜ、故意に意識を失わせました。そして同僚の楢崎さんと共謀して彼女をこのラブホテルに運び……同意のない強引な性行為に及びました」  それは、楢崎と翔吾しか知らないはずだった。  社会的には許されない、秘密の遊び。  
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