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兵頭・BlackSuit
「組長っ!」
兵頭が叫んだ。
「組長~っ!!!」
いつの間にか、そばにいいた、コテツと呼ばれた小さな男と、王子という男も、号泣しながら、叫んだ。
そして……。
お父さんの葬儀が終わった。
ヤクザの組長の葬儀だから、どんなにすごいものだろうと思っていたら、お母さんの時と変わらない、家族葬のようなものだった。
お父さんの、生前の遺言だったらしい。
ごく内輪で、簡素に済ませて欲しい、という。
僕は、お母さんの時のように、お父さんの体が、煙になって、空に登っていく様子を、ぼおっとしながら見ていた。
本当に、たった一人になってしまったのだ……。
そんな僕を、そばにいた兵頭が、ふいに抱きしめた。
そして、言った。
「坊ちゃんは、一人ではありません。これからは、私が、坊ちゃんの父となり、母となり、坊ちゃんを組長としてお支えいたします。それに、組員は、皆、坊ちゃんの新しい家族です」
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