ちり紙とティッシュに悩む兵頭

1/1
前へ
/35ページ
次へ

ちり紙とティッシュに悩む兵頭

c62315f9-bc46-401a-8181-33021fb68194 「兵頭さん、今どき、ちり紙は、古いわよ。ティッシュって言うのよ」 そう、王子が笑いながら言った。 「そうっスよ、兵頭アニキ」 コテツも笑った。 「そうか……ティッシュか……」 兵頭は、かっぽう着姿で、神妙に言った。 僕は、八神組の組長になったが、その実、生活は、今までと変わらなかった。 毎日高校には、今まで通り、通っていた……。 いや、今まで通りじゃない。 兵頭の手作り弁当を持たされるようになったのだ。 手作り弁当なんて、僕は初めてだった。 今までの学校では、学食だったし、遠足だって、忙しいお母さんは、出来合いの総菜を弁当箱に詰めて、終わりだった。 手作り弁当と、かっぽう着姿で分かる通り、兵頭は、本当に僕のお母さんとお父さんになってくれようとしていた。 あのクールな感じの兵頭が、僕の両親の役を本気でしてくれた。
/35ページ

最初のコメントを投稿しよう!

45人が本棚に入れています
本棚に追加