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兵頭一真
ベンツは、やがて、大きな日本家屋の前に着いた。
その家の前には、黒いスーツ姿のごつい男たちが、ずらっと並んでいた。
「坊ちゃん、着きました。お降りになって下さい」
そう、兵頭に言われ、僕は恐る恐る、兵頭と共にベンツを出た。
すると、並んでいる男たちの中から、二人の男が飛び出してきた。
一人は、背の低い小柄な若い男で、もう一人は、綺麗な顔をした、髪の長い王子さまみたいな男だった。
小柄な男が、兵頭に言った。
「急いでください! 兵頭アニキ、組長がっ!」
王子さまのような男も、泣きながら叫んだ。
「兵頭さん! 組長が死んじゃう~!」
「落ち着け。坊ちゃんをお連れしたぞ」
そう、兵頭は二人に言った。
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