![a4a93587-daf8-4cd4-ad1b-1934df6f233f](https://img.estar.jp/public/user_upload/a4a93587-daf8-4cd4-ad1b-1934df6f233f.JPG?width=800&format=jpg)
広い廊下の突き当りの部屋の前に、男たちが正座していた。
兵頭は、その部屋に向かって、言った。
「組長、坊ちゃんをお連れいたしました」
すると、部屋の中から、うめき声に近い返事がした。
「……ああ、入ってくれ……」
兵頭と共に、僕は部屋へ入った。
そこは、広い和室で、中央に布団が敷かれていて、男の人が寝ていた。
「組長、優太坊ちゃんです」
そう、兵頭は、男の人に、僕を紹介した。
男の人は、横たわったまま、僕を見た。
ヤクザの組長だというから、凄みのある怖い人を想像していたが、その人は、目尻に笑い皺のある穏やかそうな、普通のおじさんだった。
しかし、その顔色は、真っ青で血の気がなかった。
「君が……優太か……」
そう言って、震える手を伸ばしてきた。
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