3.and forget

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3.and forget

 電話はやはりお金の無心だった。 「今月、払えるお金がないの。なんとかしてくれない?」  哀れみたっぷりの声色で訴えかけてくる。 「うん、分かった。どれくらい必要なの?」 「10万円」  私の給料の半分以上だった。 「分かった。振り込んどくから」  それだけ言って電話を切った。  電話を終えると、脇に嫌な汗が流れるのを感じた。  毎月のことだ。  以前、さすがに払えなくて断ったことがある。  すると、母は私の家や会社にまでお仕掛け、何時間もお金を出してくれるように訴えてきた。  そのせいで会社はクビになったし、アパートも追い出された。  居場所を隠していても、母は私を探し出し、お金の無心にやってきた。  その姿は、幼い私と母が家々を周り、募金をお願いしていた姿のまま変わっていなかった。
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