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「……らんぷちゃんは男前やねえ」
と、吐息まじりに、久志朗は言葉を零した。
「???」
これでもか、というほど首を傾げるらんぷに、久志朗は苦笑する。そんな彼の表情を見つめながら「そういえば、話が逸れてるな」と思い出して、らんぷは「それで」と切り出した。
「久志朗さんは、詩枝さんのお話聞いて何か分かった?」
問いかけに、久志朗は眉を顰めた。
「今、調べてることに関わりがあるかは分からへんけどな」
うん、とらんぷは1つ頷く。
「あの和傘から、妙な気配がしたんやわ……その気配、あやかしの気配に近いねん」
あの和傘とは今日持ち帰ったあの傘のことか。それはそうだろうとも。いや、それよりも。
「久志朗さんは、あやかしさんの気配が分かるの?」
「分かる時と分からへん時がある。分かる時は大抵近くの時やな。分からへんのは遠いのと、それから時間が経過してしもてる時」
「……なるほど」
「もちろん、最初からあの傘が怪しいて思うてたわけやない。随分とお洒落な傘やなあて見てただけやねん。せやけど妙な気配するし」
うんうん、それで?とらんぷはただ頷く。
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