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「それでまあ、夜美人さんの魂が安置されてる山に行ってきたんやけど」
「うんうん」
「山の管理してる…‥仙人みたいなじいさんがおんねやけど、夜美人さんの魂が封じられてる壺貸して欲しい言うたら、断られた」
「……なんで断られたの?」
「手土産に八ツ橋買って持って行ったんやけど、今はそんな気分やない。上生菓子の気分や言われてん」
「ふむ」
なるほど、好みの土産じゃなかったからか。
しかし、わざわざ山の登って来た訪問者を、それだけの理由で追い返すのは如何なものか。
いやでも、とらんぷは首を振る。
人によって、土産の重要度というものも違うんだろう。あまり重要ではないと考えるのもいけないことだ。
一瞬の内に、百面相をするらんぷに、久志朗は不機嫌だった表情をほんの少し緩めた。
「まあ、今借りられても、依り代の準備してへんかったから。……考える時間が出来て丁度ええて考えた方がええな」
「依り代?」
「そ。あやかしやら、人やらの魂を形あるものに移して、会話するために必要なんやよ」
そんなことが出来るのか!らんぷは感心すると同時に感動した。
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