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「花言葉って、薔薇でいうところの『あなたを愛しています』?」
「そ。まあ、薔薇は色、本数、状態でも花言葉変わるけど。朝顔にも色ごとに花言葉があるんやよ。ちなみに青い朝顔の花言葉は『短い愛』『儚い恋』やね」
「もっと爽やかなのかと思った」
しょんぼりと肩を落としながら、らんぷが素直に感想を告げると、久志朗は「そうやね」とのんびり答えた。
そしてその夜。21も過ぎた頃。
寝室を同じくして眠っていた久志朗が起き出す気配に、らんぷは目を覚ました。
「あ、起こしてしもたんか」
「……ん、らいじょぶ、らいじょぶ」
「そんな風には見えんけど?」
ぱっと、らんぷは飛び起きた。目をギンギンに開いて「行ってくるんらね!?」舌足らずに、久志朗に問いかける。
「行ってくるわ。依り代にするあの花は夜にしか咲かへんねん。はよ行かな、花が閉じてまう」
「らんぷも行っちゃ駄目なの?」
「あの山は力のある巫女か、山を管理してるじいさんと面識のある奴しか入れへんねん。それ以外のもんが入ったら、そこいらから霧が沸いて、いつのまにか山の入り口んとこに帰されることになる。……壺持って帰ってきたらまた起こしたげるから。それまで寝とき」
「……うん」
目を伏せるらんぷの小さな頭を久志朗は優しく撫でた。
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