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「1つ教えとくけど。その朝しか顔を見せてくれへん美人いうんは、朝顔の花のことや思うで」
『……花?』
なるほどなあ、とらんぷは心の中で思った。朝顔は朝にしか咲かない花。古傍は婉曲した言い方で言ったのだ。
そう考えると、やはりこの件と朝顔の関連はとても深いと思われる。
だが、そうして古傍はそんな遠回しな言い方で、夜美人に誤解されるようなことを言ったんだろう。
「そう、花のこと。古傍さんはあんたに朝顔を見せるて言うたんやわ……そうなると、あの傘のデザインにも合点がいく」
久志朗の顔をまじまじと見つめて、夜美人はほんの少し考える素振りを見せた後で、また口を開く。
『その朝顔とやらは、朝にしか咲かないのでしょう?夜しか姿を見せることのない私に彼は一体どうやって、そんな花を見せようというのですか』
「まあ、まあ、それは今度の雨の日に試してみな分からへんよ」
そう言って満足そうに笑う久志朗に、夜美人は首を傾げ、らんぷは久志朗が何をしようとしているのか具体的には分からなかったが、自信に満ちた眼差しを受けて「らんぷも手伝うよ!」元気よく手をあげた。
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