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次の日、僕は早速彼女を呼び出した。
善は急げ、だ。
場所はもちろん、彼女と再会した丘の上の公園だ。
「どうしたの? こんなところに呼び出して」
遠くの夜空に花火が上がる。
あぁ、そうか。今夜は夏祭りだ。
どぉんどぉんと鳴り響く重低音が僕の心を落ち着かせる。
焦らなくていい、とまるで鼓舞してくれているみたいだった。
「ねぇ、僕のために死んでくれる?」
言葉を放つと同時に、涙がぽろりと零れ落ちた。
無様にも僕は紅葉に懇願した。
「えぇ、いいわ」
嬉しそうに笑って快諾する彼女が、こんなにも愛おしくて、こんなにも憎い。
一緒に生きていけないのならいっそのこと、僕の手で。
それが最大の愛情表現なのだと疑いもしなかった。
僕は、紅葉の首に手をかけた。
かつて雪が僕にそうしてくれたように。
彼女は全てを受け入れた清々しい表情のまま、瞼を下ろした。
これで二人目だ。
誰かを殺してしまうのは。
仕方がないんだよ。
だって紅葉が悪いんだ。
双子の区別を付けられない君が、その癖「あお」を愛しているなんて言う君が、憎い。
どうしようもなく、憎いよ。
「君が! "あお"のストーカーなんてするから!」
未だ僕の兄に執着なんてしてるから‼
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