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ウナ先輩が来る。
夕方の集会で、峠に集まった天ノ雀のメンバーは、各々鉄パイプや角棒を手にしながら震えていた。
輪の中心で、すずめちゃんはピンク色に塗装したホンダのCB400FOURに跨って、気合いのすだれ前髪を気にしていた。サラシにドカジャンを羽織って、足元はチャイナ風シューズ、すずめちゃんの一番のオシャレだ、とオタケは思った。
「今日はトップクじゃないんだね」
「今日あウナへんぱいがくるひらし……」
すずめちゃんがまた前髪をいじりながら言った。
「一張羅だね」
「うん……チームらなくれ、すずめとしれ、あいらいの……」
オタケは大きなせんべい缶を携えている。その手は緊張からじっとりと湿っていた。
その時、遠くで悲鳴が上がり、輪の一箇所が崩れた。
ウナ先輩が来たのだ。
「すずめオラ! どこだ!」
邪魔だザコ! 叫んで改造バイクから轟音を響かせながら、ウナ先輩が人を割ってすずめちゃんの前に現れる。
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