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「今日で天ノ雀は解散しろ。次に集会やトップク見かけたら、一人ずつ殺してく。いいな」
「はい……」
「オラ、缶よこせ。詫び金だろうが」
ウナ先輩は脇に缶を抱えると、また轟音を響かせて帰っていった。広場に倒れたすずめちゃんが、血溜まりに顔をつけながら薄く笑っていることに、誰も気づきはしなかった。
大きな缶のなか、紙のかき混ぜられる気配を脇に感じながらウナ先輩は気分よく帰宅した。
部屋にはまだ沖那君が居た。ウナ先輩の母親からコーラとポテトチップスを貰って、マーガレットを読んでくつろいでいる。
階下では「またそんな格好で出歩いて」「これがイケてるんだよママ」なんて仲の良い会話が聞こえてきて、階段をのぼる足取りからも機嫌が良いのが分かる。はたして平和的にコトは済んだのだろうか、と思っていると、せんべい缶を小脇に抱えたウナ先輩が鼻歌交じりに入室してきた。
「天ノ雀解散させてきた」
「えっ、すずめちゃん潰したの?」
「チョロいよあんなの。それに詫び金も、デカい方取ってきた。こんなデカい缶目の前にして、あの小箱の方を取ってくるって、ホントに甘いんだからよ」
まあそこも可愛いけどな、とキスをすると、せんべい缶を部屋の真ん中に置いた。
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