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「シメられたけど、元さやだよ。でもすずめちゃんも頭下げに来いって、仁義きれって、それを伝えに来たんだ」
「仁義だあ?」
オタケが声を上げるのを、すずめちゃんがひと睨みで黙らせる。それから耳打ちをして、オタケにあるものを取りに行かせた。
オタケが持ってきたのは、小さな菓子の空き箱と、大きなせんべいの空き缶だった。
「すずめちゃんは直接行かない。チームの面子があっからな。その代わりこれは沖那君との手切れ金と、ウナ先輩への詫び金だ。どちらかを取って持って帰れ」
すずめちゃんがもごもごとした、いつもの喋りに戻り、それをオタケが伝達する。
「えっ、来てくれないの? なんで? 俺またシメられるよ」
「そのための詫び金だろうが。良いからそれ持って帰んな。ウナ先輩側である以上、もうあたしらとは敵対してんだよ沖那君は」
ドスの効いた声でオタケが言うと、周りのレディース達も腰を上げて威嚇の体勢に入る。沖那君は焦って小さな菓子箱を掴むと、走って出ていった。その姿も青春映画のワンシーンのようで、みなぽうっとなって見送った。
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