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『いつまでも子供みたいなことばかり言って!』
母に聞かれたら、きっとそう言われるに違いない言葉も、私の素敵な『姉』は、いつも笑顔で受け止めてくれた。
優しくて、温かな笑顔。
母親似だというその笑顔を、けれど新しい母は、好まなかった。
私とよく似た面差しを醜く歪めて、私の大好きな姉を貶める言葉ばかり口にする、母。
姉をかばう勇気もなく、私はただひたすら、耳をふさぎ続け。
そして。
『いつか、……』
その約束は果たされぬまま、あなたは家から姿を消した。
あなたの血を分けた父親は、母から隠れるようにして嘆いていたけれど、それだけだった。
風の噂すら聞こえず、あなたの行方を探す当てもなく、時は過ぎた。
やがて、姉が消えた齢を、私の年が越えたころ。
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