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ある日、旅先で通りかかった、小さなブティックのショーウィンドウを飾る一着のワンピースに目を奪われた。
澄みわたる夏空のような、天色のワンピース。
「よろしければ、店内にどうぞ」
ガラス越しに吸い込まれるように、立ち尽くす私に、降りかかる穏やかな声音。
どこか懐かしいその声の主は……声と同じく穏やかな眼差しの。
「あ、あの……」
戸惑う私に、優しく微笑みかける女性は、私を見上げて、息を飲んだ。
「……もしかして?」
「……姉さん?」
記憶の中より、ずっと小さなその体を、私は思わず抱き締めた。
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