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「いいお天気だねえ」
だんだんと色濃く伸びてきた、柔らかな草むらを褥に、あなたは空を見上げる。
澄みきった夏の青空を「天色」と呼ぶのだと教えてくれたのも、あなただった。
「ホントにいいお天気です。空がとってもきれいです」
「もう、そんな風に喋らなくっていいって、言ったでしょ? もう、きょうだいなんだから」
「すみません」
「だから……ま、そんなところも可愛いけどね。……ああ、ホントに綺麗な空。雲ひとつなくて、このまま切り取ってしまいたいわ」
「空を切り取ってしまうのですか?」
「そう。それで、服を作るの。何がいいかなあ?」
私の顔を覗き込んで、あなたは首をかしげる。
こういう顔をする時は、私の新しい『姉』が私に答えを求めているのだと、最近学んだ。
「……ワンピースがいいです。昔、……絵本で読んだんです」
こんな子供っぽい答えに、けれどあなたは、にっこり笑ってうなづいて。
「うん。私もそのおはなし、好きだわ。そうね、いつか、……あなたによく似合うワンピースを、作るわ。約束する。こんな風に、澄みきった、天色のワンピース」
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