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その瞬間、金属同士が立てる音がカンカンと湖畔一帯に鳴り響き
「ソフィー、お待たせ〜!朝ごはん出来ましたよ〜?」
状況がわかっておられるのか、気にしておられないのか、恐らく後者だろう、ブルース様の暢気な声が湖畔に響いた
さっき僕が走るのに苦労した砂の上をスイスイと歩いて来られるのは…修行のレベルが違うんだろう
「もう、ブルー!待ちくたびれたじゃないの!」
つい今しがたまでの殺気が霧消し、その愛らしい唇を尖らせつつも、満面の笑顔を浮かべたソフィアーネ様が立ち上がる
取り敢えず二人の犠牲者を出さずに済んだようで僕はひと安心
「すみません、自前の道具を忘れたもので…で、あそこのお二人は?」
「たぶんごはん食べたい心境じゃないんじゃない?」
「せっかく人数分張り切って作りましたのに…先に食べ始めておいてください、アランも。熱いから気を付けてくださいね?」
「はーい♫ごっはん、ごっはん♫あれ?ブルーは?」
「止血だけしておきますよ、こんなきれいな湖畔をこれ以上汚せないでしょう?」
「え〜?あんな半人前以下なんかほっとけば良いのに…アラン、行こ♫」
僕を掬い上げるように抱きかかえ、ブルース様が用意してくれている朝食に鼻唄混じりに、連れて行ってくれた
先ほどまでのお怒りがウソのようだ…
これが噂に聞く「胃袋を掴む」と云うことなのか
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