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その頃、沖縄では上陸してきた米軍との、激しい地上戦が行われていた。
高等女学校の学生であった由紀子は、学徒隊として動員されていた。
由紀子の仕事は、陸軍病院での看護業務である。
手足を吹き飛ばされた兵士に、包帯を巻いたり、傷口にわくウジ虫を取り除いたり、動けない兵士の食事や排泄の世話を献身的に行っていた。
重傷の兵士を見るたびに、拓真はこんなことになっていないか、由紀子の心配は増す一方であった。
拓真は約束してくれた。
沖縄に戻ってくると。
由紀子はその言葉を信じ、心の支えにして毎日の勤労に励んでいた。
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